そこ何かいるの・・・?虚空を見つめる猫たちが見ているものとは

唐突ですが、皆さんは猫派と犬派のどちらでしょうか。

Twitterやインスタをやっていると、結構な頻度で猫関連の変な写真がバズっているのを見かけます。個人的には特に猫派とかではないのですが、それでもついつい眺めてしまう事も。

そんな猫達ですが、時折急に動きを止めて、何も無い空間をじっと見つめたりする事ありますよね。

1匹とかなら別になんでもないのですが、空き地や駐車場で、普段は思い思いに寝たり毛づくろいしたりしている複数の猫達が揃って動きを止め、目を見開いて同じ一点を見つめていたりすると、ちょっとしたホラーな感じになります。

ちょうど先日、昼食時に近所の野良猫が多い駐車場でそんな様子を目の当たりにしてしまってから気になっていたので、ちょっと調べてみました。

優れた視覚性能

四六時中寝ているようにしか見えなかったりと怠惰な面が目につく気がしますが、もともと猫達は優秀なハンターです。その行動にはきっと理由があると思われます。ですので、きっと彼らが見つめる虚空には何かがあって、人間にはわからないだけだと考えてみましょう。

そうなるとまず調べるべきは、猫の感覚器官の性能です。特に目については、とりあえず暗い所でもよく見えるらしいというのは有名ですが、実際のところ人間とはどれくらい違うのでしょうか。

圧倒的な暗視性能

目から入ってきた光が網膜にある2種類の視細胞で処理されるというのは、学校の生物の授業で習ったと思います。一つは杆体細胞と呼ばれるもので、もう一つは錐体細胞といいます。そして、暗い場所で物を見分ける能力や動きをとらえる能力は、杆体細胞が担っています。

なんと猫の網膜には、この杵体細胞が人間の6~8倍もあるとの事!

これは、単純に暗い場所でも6~8倍よく見えると考えていいのでしょうか?実際にそういう網膜を持ってみない事には解明できない気もしますが、とにかくよく見えそうです。

それだけではありません。

猫の網膜層の一番奥にはタペタム(リンク先には摘出されたタペタムの写真が掲載されているので、苦手な人は視細胞を不活性化させてから見ましょう)と呼ばれる反射板が備え付けられています。


目に入った光が網膜にたどり着いた時、光を構成する粒子(フォトン)の内のいくばくかは視細胞を活性化させ、そこから信号が脳に送られた結果、映像に変換されます。ですが、中には視細胞を活性化させる事無く通過してしまうフォトンもあります。猫の目は、こうして通過してしまったフォトンをこのタペタムで反射する事で、視細胞を活性化させる機会が増やしているのです。

そして、このタペタムは猫だけではなく、犬や猿、魚など多くの動物が持っています。
皆さんもどこかで、犬や猫の目が物凄く光っている写真を見た事があるかと思います。これはタペタムに反射された光がカメラに写ってしまったからなのです。

ちなみに、タペタムが無い人間の場合でも、フラッシュなどの強い光を利用すると目の内側から反射した光がカメラに写る場合があり、この場合は目の内側を流れる血の赤い色になります。

というわけで、人間の6~8倍の杵体細胞を持っている上に、入ってくる光をタペタムで反射させることで有効活用しているという事なので、暗い所ではもちろん、それなりに明るい状況でも人間にはわからない光の反射などがしっかり見えているのだと思われます。

その為、昼間明るい場所で猫達がじっと何もなさそうな空間を見つめている場合、彼らは空気中の塵や、羽虫の群れなどが反射する日光に反応している可能性があります。

紫外線も見える

こと視界に関する分野において、光は大きく可視光線と不可視光線の2種類に分ける事ができます。

物理の授業で習ったかと思いますが、可視光線の波長はだいたい720nm~400nm。これよりも波長が短い不可視光線を紫外線と呼び、波長が長い不可視光線を赤外線と呼びます。

かねてより鳥達は紫外線を認識していて、魚や爬虫類、昆虫などは紫外線に加えて赤外線も見えるのが割と普通らしいと知られていましたが、哺乳類に関しては珍しい能力だと思われていました。ですが、シティ大学ロンドンなどの研究者によると、我々が思っていたよりも多くの哺乳類が、紫外線を見る事ができるみたいです。

そして猫達もまた、紫外線を見る事ができます。

女性はもしかしたら、普段から使っている日焼け止め製品のパッケージなどで見たことがあるかもしれませんが、紫外線にはUV-A、UV-B、UV-Cの3種類があります。
種類といっても、波長域が違うだけで大体の波長はそれぞれ、UV-Aが320~400nm、UV-Bが280~320nm、そしてUV-Cが100~280nm。

UV-Cに関してはオゾン層に吸収されて地上には届かないので、きっと猫にも見えていないと思いますが、少なくともUV-Aに関しては見えている様です。

そして、実は人間の使うものの多くに紫外線下で見え方がかわる薬品が含まれています。

例えば化粧品や、洋服などの染料、洗濯用の洗剤などです。また、尿や血液などは、たとえ人間の目に見える範囲で拭き取ったとしても、紫外線下では判別可能なままだったりします。(もし家に強力なブラックライトがあるなら、トイレの床や壁を照らしてみてください。ただし、その日一日食欲を失ったとしても責任は取れませんので悪しからず。)

あなたの家の猫が何も無いように見える壁なり床の一点を熱心に見つめている時、それは紫外線に反応している何かしらを眺めている可能性があるという事です。

簡単にまとめると、我々には見えない細かい光や、紫外線関連の何かが実際によく見えていて、それに反応しているのかもしれないという事ですね。我々人間とは目の機能が違うみたいです。

実は耳も結構いい

人間の可聴域は、大体20Hz~20kHzだと言われています。それに対して、猫は55Hz~79kHzとのこと。(人間も猫も、論文によって若干のばらつきがあります。今回は見つけた論文の中で丁度中間位の数値の物を参照しました。)

低音に関しては人間の方に分がある様ですが、高音域に関しては猫が圧倒的です。ちなみに犬の可聴域は大体67Hz~45kHzなので、耳の良さに関して猫は犬も圧倒しています。

更に、耳も180度回転させることができて、人間よりも音の出どころを正確に聞き分ける事ができるそうです。

この事から、猫が何もない壁や天井などをじっと見つめている場合、それは何かを見ているのではなく、壁の中や天井裏から聞こえてくる、人間には聞こえない高音域の音に反応している可能性があります。例えばネズミや虫だったり、パイプなどがたてる音です。

目が良いみたいな事を言ったが、あれは嘘だ

先に視力云々について書いたのは、このコマンドーネタを言いたかったからです。

ここまでで大体、猫の不可解な行動は人間の目や耳が感知できない何かしらに反応しているだけな可能性が高い事がわかってきたと思います。

ただ、このままでは「とにかく猫は人間よりもすごい」的な感じの印象を持たれて終わってしまいそうな気もするので、猫がそこまで得意じゃない部分についても触れていきましょう。

実はかなりの近視

というわけで、割と近視なようです。

どれくらい近視なのかというと、人の1/5~1/10位の視力しかないみたいです。ちなみに犬は人間の半分よりちょっと悪い位。とは言っても、人間の視力は1.0を基準としているので、例えば1.0の人の1/5位の視力の猫と比べたら、その猫よりも近視な人って結構多い気もします。実際、今これを書いている筆者も0.02位の裸眼視力なので、猫よりも近視だと思います。

見分けられない色がある

人間ほど多彩な色をはっきりと見分ける事は出来ないみたいです。

ただし、時折耳にする「猫は白黒しかわからない」みたいなのはそれこそ誤解です。(ちなみにこの誤解は世界中で割と信じられている様で、1920年に出たこちらの雑誌の仕業みたいです。)

色を見分ける能力は、網膜の錐体細胞が担っていて、人間はおおよそ青、緑、赤のそれぞれの光の波長域に対応する、3種類の錐体細胞を持っています。ですが、猫の網膜には2種類(S-錐体とM-錐体)の錐体細胞しかありません。

しかも、全体の83%~88%はM‐錐体という事です。その為、人間とは見え方がかなり違います。

具体的には、猫には青と緑を見分ける事はできても、赤やピンクは全てほぼ同じ緑っぽい色に見えていたり、紫は殆ど青に見えているそうです。

飼い猫にピンクの服を着せて「うちの猫ピンクが好きなの!かわいいピンクの服で喜んでるの!」的なニュアンスの投稿は、Twitterやインスタグラムにて年に3回位見かける気がしますが、次にそのような投稿を目にしたときは、その猫が緑色を好きな可能性はあれど、ピンク色で喜んでいる可能性はかなり低い事を指摘してあげると感謝されるかと思われます。(その後の人間関係については、やはり責任を負いかねるので悪しからず。)

人間の目の知られざる性能

余談ですが、猫を含む多くの動物に見えていて、人間には見えないとされている紫外線。

もしかしたら人間でも見る事ができるかもしれません。

人間が紫外線を見る事ができないのは、角膜とレンズの性質によるものということが解っています。

人間の角膜は295nmより短い波長の紫外線を吸収してしまいます。そしてレンズが295~400nmの紫外線を吸収(正確な数字は年齢によって変わる模様)する為、私たちは紫外線を見る事ができないのです。

つまり、角膜や水晶体がなくなった場合、紫外線は網膜に届くという事。

例えば白内障の手術をして水晶体を除去した場合、人工の水晶体を入れず、専用の眼鏡やコンタクトレンズを使用して視力を合わせる事を選択する事ができます。セントルイス大学の生物学教授で視細胞に関する研究を専門とするWilliam Stark氏は、自身も片方の目のみ水晶体を除去した後、実際に紫外線が見えるようになったそう。

そんなStark氏ですが、気になる紫外線の色については「白みがかった青あるいは白っぽい紫」だと述べています

更に、人間の目は条件次第で赤外線も見る事ができるみたいです。
そしてその色は緑色なのだそうです。赤外線なのに緑色とかちょっと不思議ですよね。

こちらの論文、スイスやポーランド、米国などの研究者達によるものなのですが、強力な赤外線レーザーを人間には感知できない程短い間隔で点滅させると、通常は見えないはずの赤外線が見えるとのこと。

特定の波長の光が目に見えるか否かは、網膜にある杵体細胞や錐体細胞内の特殊な色素がフォトンを吸収するところから始まります。通常は1つの色素が1つのフォトンを吸収するのですが、感知できないほど超高速で点滅させると、1つの色素に2つのフォトンが吸収される事があるそうです。

可視光線の波長は大体400nm~720nmで、色素もこの波長域のフォトンに反応します。それに対して、赤外線は約1000nm。可視光線よりも波長が長く、フォトン1つの持つエネルギーも小さいため、色素も反応しません。しかし、2つのフォトンが同時に吸収されると、合計で約500nm相当のエネルギー量に達します。これは可視光域の約500nm前後のフォトン1つの持つエネルギー量とほぼ同じ位になるため、色素が反応して目に見えるという仕組み。という事で、この方法で見える赤外線は緑色になるのです。

なんだかんだで少し難しい内容になってしまいましたが、簡潔にまとめると、猫が何かをじっと見つめていたら、そこには大体何かがいる(ある)可能性が高いという事ですね。今流行りのVRとかで猫や他の動物が見えている世界を体験できたらちょっと面白そうです。あと、赤外線とかも見てみたいところです。

最後に、猫の見え方について写真を加工して比較している記事を見つけたので紹介します。文字よりもイメージしやすく、高校生にも読める内容となっているので、勉強の息抜きに読んでみてはいかがでしょうか。

How Cats See The World Compared To Humans [PICTURES]

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